平成25年3月16日(土)に第13回目の「スーパーコンピュータ「京」を知る集い」を秋田県児童会館(秋田県秋田市山王中島町1-2)において開催しました。
今回、259名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
各講師のプレゼンテーション要旨につきましては、こちらからご覧いただけます。プレゼン資料ついては下記のプログラムの中にPDFファイルで置きましたので、ダウンロードしてご覧ください。
なお、当日回収させていただきましたアンケート調査の結果はこちらをご覧下さい。次回以降の開催の際の参考とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。
■概要
- 主 催:独立行政法人理化学研究所
- 後 援:秋田県、秋田市、ABS秋田放送
- 開催日時:平成25年3月16日 土曜日 13時30分~16時(受付13時〜)
- 開催場所:秋田県児童会館
( 秋田県秋田市山王中島町1-2 ) - 定 員:300名程度(先着順)
- プログラム
13時30分~13時35分 | 挨拶 米澤 明憲理化学研究所計算科学研究機構 副機構長 |
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13時35分~14時 |
平尾 公彦 理化学研究所計算科学研究機構 機構長 |
14時〜14時40分 |
米田 一徳 東京大学新領域創成科学研究科 久田研究室 共同研究員 |
14時40分~14時55分 | 休憩 |
14時55分~15時20分 | 「技術の壁を突き破れ!スーパーコンピュータ「京」の開発」(VTR)上映 |
15時20分〜16時 |
三好 建正 理化学研究所計算科学研究機構 データ同化研究チーム チームリーダー |
■講演要旨
■スーパーコンピュータ「京」ってなぁに?:平尾 公彦
スーパーコンピュータ(以下「スパコン」)は、現代の科学技術の発展や、産業の国際競争力を高めるためになくてはならない基盤技術となっています。世界中で、よりパワフルなスパコンの開発にしのぎを削っています。
「京」は2011年の6月と11月、2度世界一を獲得し、11月には世界で初めて10ペタフロップスの壁を突破しました。京は部品から組み立てまですべて純日本製で、日本の科学技術のレベルの高さを世界に示しました。2012年9月から本格稼働をし、大学の研究者や企業の方々など様々な人々に使用されており、優れた成果が出現しつつあります。
私たちの周りにある自然現象・社会現象は、ある一つの法則のもとに現象が支配されており、これらの現象の解明には背後にある数学を使用した論理を解いていく必要があり、それを通常のコンピュータよりはるかに計算が速く、能力の高いコンピュータであるスパコンの力で解こうとしています。それらは、時間や空間を飛び越えた「シミュレーション」と呼ばれ、従来の実験や理論と並ぶ新しい研究手段として注目を浴びています。
スパコンは私たちの生活を力強く支え、明日を切り拓くもので、みなさんが知らないところでも活躍していますが、私たちはさらに「京」の威力を引き出し、ワクワクするような成果を出し、みなさんの期待に応えたいと考えています。
■スパコンで心臓を再現する 分子の動きから心臓の拍動まで:米田 一徳
ヒトが生まれてから死ぬまで休みなく動き続ける心臓は、分子レベル(nm~μm)の生化学反応から心臓全体の拍動(cm)まで、非常に幅広いスケールに跨がった複雑な物理現象の組合せによって成り立っています。そのため、未だに解らないことが多く残されています。
私たちのグループでは、その心臓をコンピュータ上に再現するシミュレータ “UT-Heart”を開発しています。UT-Heartは、スーパーコンピュータ(スパコン)の計算能力を利用して、筋肉の収縮タンパク質であるアクチンとミオシンの1つ1つの動きからスタートし、心筋細胞・心筋線維の収縮・弛緩運動を経て、心臓全体の拍動・血液拍出に至るまでを再現できる唯一のシミュレータです。
私たちは、このUT-Heartとスパコンを活用することで心臓の未知のメカニズムを説き明かそうとしています。UT-Heartによる心臓シミュレーションを基礎医学・分子生物学と臨床医学の橋渡しとして、心疾患が生じる仕組みを解明したり新しい治療法を発見したりすることを目指しています。
■「京」を使った最先端の天気予報研究:三好 建正
日々の天気予報は、気象庁のスーパーコンピュータ(スパコン)で計算された将来予測に基づいて作られています。天気のコンピュータ・シミュレーションは、地球の大気を細かく格子状に分割し、大気の物理法則を計算することで行います。スパコンが高性能になるほど、より細かく分割して、より精緻なお天気シミュレーションができるようになります。「京」のような大きなスパコンを使うと、宇宙から見た地球の姿と違わぬような、忠実に再現された雲の動きをシミュレーションできるようになります。
天気予報を行うには、コンピュータ・シミュレーションが実際の天気をよく再現しなければなりません。このため、シミュレーションに実際の観測を組み合わせて同化させることが必要です。この「データ同化」が天気予報に大きな影響を持つことがわかっています。
ゲリラ豪雨のような局所的に激しい天気は、その呼び名が示唆するように、予測が難しいものです。最先端の天気予報研究では、このような予測の“当たりやすさ”について考えています。天気予報を当たりやすくするにはどうすればよいのか、天気予報の当たりやすさを知ることができるのか、といった研究です。上で述べたデータ同化を改善して予測を当たりやすくすること、また、当たりやすさ自体を予測することも研究されています。10年後の一般的なスパコンは、今の「京」くらいの性能になるでしょう。10年後にどんな天気予報を目指すのか、「京」のとてつもない計算能力に支えられて、最先端の天気予報研究を進めています。
■アンケート調査結果
※259名中241名が回答
■お問合せ先
独立行政法人理化学研究所
計算科学研究機構 広報国際室 岡田 昭彦
TEL:078-940-5625 FAX:078-304-4964
E-mail:aics-koho@riken.jp (全角を半角に修正後お送りください)
URL:http://aics.riken.jp/jp/library/shirutsudoi
印刷用チラシデータはこちらからダウンロードしていただけます。【pdf 393KB】