スーパーコンピュータ「京」を知る集い in 新潟(開催報告)

 平成25年7月20日(土)に第14回目の「スーパーコンピュータ「京」を知る集い」を新潟ユニゾンプラサ( 新潟市中央区上所2丁目2番2号 )において開催しました。
 今回、241名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
 各講師のプレゼンテーション要旨につきましては、こちらからご覧いただけます。プレゼン資料ついては下記のプログラムの中にPDFファイルで置きましたので、ダウンロードしてご覧ください。
 なお、当日回収させていただきましたアンケート調査の結果はこちらをご覧下さい。次回以降の開催の際の参考とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。

■概要

  • 主  催:独立行政法人理化学研究所
  • 後  援:新潟県、新潟市
  • 開催日時:2013年7月20日 土曜日 13時30分~16時(受付13時〜)
  • 開催場所:新潟ユニゾンプラサ
          ( 新潟市中央区上所2丁目2番2号 )
  • 定  員:300名程度(先着順)
  • プログラム
13時30分~13時35分

主催者挨拶

青山 伸
理化学研究所計算科学研究機構 副機構長
13時35分~13時50分

「技術の壁を突き破れ!スーパーコンピュータ「京」の開発」(VTR)上映

13時50分〜14時20分

スーパーコンピュータ「京」で何ができるの? プログラムpdf

横川 三津夫
理化学研究所計算科学研究機構 運用技術部門長
14時20分~14時35分

休憩

14時35分~15時15分

「京」コンピュータで薬をつくる プログラムpdf

奥野 恭史
京都大学大学院薬学研究科 システム創薬科学 教授
15時15分〜16時

「京」コンピュータで巨大津波を予測する プログラムpdf

馬場 俊孝
海洋研究開発機構 地震津波・防災研究プロジェクト 技術主任

■講演要旨

■スーパーコンピュータ「京」で何ができるの?:横川 三津夫

 スーパーコンピュータは、足し算や掛け算が一般のパソコンよりも桁違いに速いコンピュータで、主に科学技術計算に使われています。スーパーコンピュータを使うことによって、ものすごく複雑な現象が分かるようになってきました。たとえば、地球温暖化や宇宙の進化などの時空間の大きな現象、エンジンルーム内の燃焼や身体の中のたんぱく質の動きなど超短時間のミクロな現象,実験室では再現出来ない現象などを、計算機シミュレーションという方法で、我々の目に見える形にしてくれます。
 我々が開発した「京」は、1秒間に1京回(1兆の1万倍)の加減乗算が可能な世界でトップクラスの計算性能を持つスーパーコンピュータです。「京」の開発では、一つのCPUの計算性能を出来るだけ高くすると同時に、8万個以上のCPUを高速に接続し協調させて動作させる技術が必要でした。このため、CPUは45ナノメートルの半導体プロセス技術という超微細加工技術を用いて製造され、またTofu(Torus Fusion)と名付けられた6次元接続のインターコネクト技術を採用しました。
 計算科学研究機構(神戸)に設置された「京」は、現在、多くの研究者やアプリケーション開発者によって利用され始めました。「京」の利用により、我々の知らない世界、これまで分からなかった現象が見えるようになり、我々の生活に役に立つ成果が得られるものと期待しています。

■「京」コンピュータで薬をつくる:奥野 恭史

 医薬品の開発は、10年以上の長い年月と、500億円以上の巨額の費用がかかると言われています。開発費用が高くなるということは、私たちが手にする薬の値段も高くなり、そのために、一部が税金でカバーされている医療費も高くなってしまいます。このことから、医薬品開発の効率化をはかり、開発コストを下げることは、製薬業界のみならず、日本の医療費問題にとっても重要な課題となっています。
 これに対し近年では、人間の勘・経験・運に頼るこれまでの非効率な医薬品開発では無く、コンピュータによる科学的な解析と予測を行うことによって、開発の効率化を図ることに大きな期待が寄せられています。しかしながら、コンピュータで正確な医薬品予測をするためには、体の中で起こる医薬品候補物質の反応を精密にシミュレーションする必要があり、このような計算は現状の汎用コンピュータでは20年の計算時間を要する非現実なものでした。一方、スーパーコンピュータ「京」は、この20年かかる計算を1週間程度で完了できる並外れた性能を有しており、スパコン「京」の出現により、より速く、より正確に、医薬品を予測することによって、より安く医薬品を開発することが現実味を帯びてきました。本講演では、演者が製薬会社11社とIT会社2社と共同で取り組んでいるスパコン「京」を用いた医薬品開発の研究プロジェクトを紹介することで、薬づくりにおけるスパコン「京」のインパクトをお示します。

■「京」コンピュータで巨大津波を予測する:馬場 俊孝

 東日本大震災は、地震・液状化・津波・火災などが組合わさることで、東日本の広い領域に甚大な被害をもたらしました。このような「複合災害」は、東北の地震に特有のことではありません。たとえば、1964年の新潟地震では揺れに加えて、地震発生から約15分後に津波が来襲、新潟市では高さ4mに達しました。新潟市内では液状化が発生し、ビルが横倒しになるなどの被害が発生しました。大規模なコンビナート火災も発生し、12日間に渡って炎上し続けました。また、東海・東南海・南海地震による西日本大震災のリスクも指摘されています。地震や津波の発生を止めることはできませんが、巨大地震に伴う災害をシミュレーションにより詳細に予測し、被害を軽減することは可能です。
 大規模津波災害の場合、救助や救援物資の準備などの初動対応のために、まずは広域にまたがる浸水の状況を詳細かつ迅速に把握しなければなりませんが、航空機を用いた浸水域調査では調査範囲が限られ、衛星画像も衛星が被災地上空を通過しなければ取得できません。ましてや、夜間に津波災害が発生した場合、被災状況の把握は夜が明けるまではほぼ不可能です。実際、東日本大震災の際も、被害の全体像を大まかに把握できたのは翌日の朝、ヘリコプタからの視察でした。このため、超高速で広域かつ詳細な浸水予測を実現できれば、大規模津波災害の救助活動に大きく貢献できます。本講演では、「京」コンピュータを用いた広域、詳細、超高速な津波浸水計算の実現に向けた取り組みについてご紹介します。

■アンケート調査結果

※241名中219名が回答

Q1.性別を教えてください。

Q2.年齢を教えてください。

Q3.ご職業を教えてください。

Q4.どちらからお越しになられましたか。

Q5.「京」を知る集いの開催をどこでお知りになりましたか。(複数回答)

Q6.講演内容について

Q7.開催時間について

■お問合せ先

独立行政法人理化学研究所
計算科学研究機構 広報国際室 岡田 昭彦
TEL:078-940-5625 FAX:078-304-4964
E-mail:aics-koho@riken.jp (全角を半角に修正後お送りください)
URL:http://aics.riken.jp/jp/library/shirutsudoi

印刷用チラシデータはこちらからダウンロードしていただけます。【pdf 401KB】