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「京」まめ知識 -vol.5-
ベンチマークプログラム

K computer Newsletter No.10 : 「京」まめ知識

さまざまなランキングで上位を獲得している「京」。
スパコンの性能 はどのように評価されているのでしょうか?

スパコンの性能をはかるためのプログラムを、「ベンチマークプログラム」と呼びます。ベンチマークとは、英語で「基準」という意味です。スパコンの開発が進む中、「どんなシステムをつくればいいのか?」「どのスパコンが一番速いのか?」を知りたい、比べたいというニーズから、いろいろなベンチマークがつくられ、性能測定に使われています。

「LINPACK(リンパック)」はスパコンの演算性能をはかるものです。年2回、このベンチマークによる上位500位までのランキング「TOP500 」が発表されており、1993年の開始から20年以上経つ現在でも、主要なベンチマークの一つとなっています。「京」は2011年6月と11月に世界一となりました。

しかし、スパコンで科学計算を行う際には、演算性能だけでなく、ほかのCPUとの通信性能や、メモリからデータを読み込む際のスピード(メモリアクセス性能)などのバランスがとれていることも重要であり、LINPACKではそうした性能を十分に評価できていないという声がありました。

そこで、新しいベンチマークが次々に提唱されています。「HPCチャレンジ」は2005年に誕生しました。実際に科学技術計算で多用される計算パターンから選ばれた4つのプログラムで高い性能が得られたスパコンが毎年11月に表彰されています。2014年、「京」は2つの項目について世界1位、残り2つについても2位と、今も総合能力の非常に高いスパコンであることが示されました。

「HPCG」はおもに産業界で活用されるシミュレーションでよく使われる数学的解法に関するベンチマークで、2014年に提唱され、ランキングが始まっています(「京」は2位にランクイン)。ほかにも、1ワットあたりの計算量から省エネ性能をランク付けする「Green500 」(2007年開始)、グラフ解析に用いられるグラフ計算の性能を競う「Graph500 」(2010年開始)などがあります。

多様なベンチマークの出現は、スパコンが進化し、計算できる対象がどんどん広がっていることのあかしでもあるのです。

スパコンは、通信性能、演算性能、メモリアクセス性能の3つがバランスしていることが重要

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