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ポスト「京」が目指すこと
第2回

K computer Newsletter No.12 : ポスト「京」が目指すこと

「京」の計算速度を大きく超えるポスト「京」の開発が進められています。
ポスト「京」ではいったいどんなシミュレーションが行われるのでしょうか。
9つの重点課題からピックアップして紹介します。

生体分子システムの機能制御による革新的創薬基盤の構築(課題1)

ここ十数年、製薬業界では新薬の創出が低迷し、開発費が増え続けているという深刻な課題に直面しています。それは、つくりやすいタイプの薬はすでに開発され、つくることが難しいタイプが残ってしまったことが大きな原因の一つだといわれています。病気の原因となるタンパク質などに結合して、その機能を制御する分子が薬となります。たくさんの分子の中から標的のタンパク質だけに強く結合する薬の候補分子を探し出し、薬効が高く副作用が少なくなるように改変する実験に大きなコストと時間が掛かっています。ポスト「京」により、それらの実験をコンピュータシミュレーションに置き換え開発プロセスを効率化することで開発費を低減し、薬のつくり方を革新して、薬効が高く副作用の少ない新薬の創出を促進します。

観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化(課題4)

地球温暖化の進行に伴い、局地的豪雨や竜巻、巨大台風などの極端な気象現象が増加する可能性が指摘されています。ポスト「京」を駆使して、高精度のシミュレーションと「ひまわり8号」などの観測ビッグデータを最大限に活用することで、局地的豪雨や竜巻をいち早く予報する技術を開発するとともに、それらの極端な気象現象が人や建物に及ぼす被害レベルを推定する技術を開発します。さらに、数週間から数十年スケールの台風の発生や特性の変化を予測するシステムの技術開発を進めます。また、人間活動に伴い大気中に放出されたエアロゾル(微粒子)や温室効果ガス、PM2.5などが気象や環境に与える影響を予測・監視するシステムの基盤技術を開発し、環境政策や防災、健康対策へ貢献することを目指します。

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