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粒子系シミュレータ研究チーム

K computer Newsletter No.6 : 研究チーム紹介

当研究チームでは、超並列システム「京」に最適な粒子法並列化アルゴリズムを確立し、「京」の威力を発揮する粒子法シミュレータ・ソフトウェアを開発しています。

シミュレーションの手法には、「格子法」と「粒子法」があります(図)。格子法では対象となる空間を格子状に区切り、その交点に格子の状態を表す数値を置き、流体の運動を支配する方程式に従って計算を行います。一方、粒子法では、1個1個の粒子に数値を置き、粒子の運動を支配する方程式に従って計算を行います。粒子法はシミュレーション対象の運動に合わせて自動的に粒子が集まり、系を自然な形で表現してくれるため、物体の衝突や破壊等、形が大きく変わる系のシミュレーションや、密度コントラストが強く細かい構造をつくる系、例えば天体が集まって銀河を形成するといったシミュレーション等に適しています。

粒子法は宇宙、生命科学、気象や気候、ものづくりなど幅広い分野で使われています。しかし、今までのソフトウェアは各分野で独自に開発されてきたために共用が困難であり、他分野の研究者が粒子法シミュレーションを行う場合、一からソフトウェアをつくる必要があります。そこで私たちは、さまざまな分野の多くの研究者が簡単に粒子法シミュレーションを行えるように、「京」のような大規模並列型スパコンで高性能に動作し、あらゆる粒子法シミュレーションを行えるソフトウェア(粒子法統一シミュレータ)の開発を行っています。現在、2014年のソフトウェア公開予定に向けて、チーム一丸となって取り組んでいます。

(岩澤 全規[まさき])

牧野淳一郎チームリーダー(左から2人目)とチームのメンバー

格子法と粒子法のイメージ

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