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大規模並列数値計算技術研究チーム

K computer Newsletter No.7 : 研究チーム紹介

医療や防災、ものづくり、新たな科学的発見などのために、スーパーコンピュータを使った大規模なシミュレーションが広く利用されています。このようなシミュレーションを行うには、多くの場合、連立一次方程式や固有値問題などの方程式を解く必要があります。

方程式を解く計算の手順(アルゴリズム)にはさまざまなものがあります。アルゴリズムの選び方により、解を求めるのに必要な計算の回数や、得られる解の正確さ(精度)が大きく変化します。また、アルゴリズムには「京」の能力を活かせるものとそうでないものがあります。後者の場合には「京」の毎秒1京回という計算能力のほんの一部しか活用できず、せっかく「京」を使ってもシミュレーションに必要な時間を短くすることができません。

一般にシミュレーションの規模が大きくなるほど、方程式を解くのに必要な計算回数は増大し、解を精度よく求めることは難しくなります。このため、「京」を使用するような大規模なシミュレーションでは、方程式を解くのにどのようなアルゴリズムを使用するかが重要になります。

そこで当研究チームでは、いろいろな分野の研究者が効率よく正確なシミュレーションを行えるようにするため、さまざまな方程式について、高速・高精度に解くのに適したアルゴリズムを選定し、「ライブラリ」と呼ばれる形のソフトウェアとして整備しています。また、「京」でより高速・高精度に方程式を解くための新たなアルゴリズムの研究開発も同時に行っています。

将来のスーパーコンピュータにおいても、方程式の求解アルゴリズムがシミュレーションのための重要な要素となることはまちがいありません。将来に通じる、方程式の求解アルゴリズムとライブラリの基盤技術を確立することが当研究チームの目標です。

(廣田 悠輔)

今村俊幸チームリーダー(右から2人目)とチームのメンバー

シミュレーションを行うには、さまざまな方程式を解く必要がある

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