ポスト「京」が目指すこと
第1回
ポスト「京」が目指すこと
第1回
「京」の計算速度を大きく超えるポスト「京」の開発が進められています。
ポスト「京」ではいったいどんなシミュレーションが行われるのでしょうか。
9つの重点課題からピックアップして紹介します。
2011年の東日本大震災の大きな教訓は、過去の経験からでは予測が困難な想定外の地震・津波に備える必要があることです。想定外を減らすためには、季節や時間、場所、天気、地震・津波の規模など、さまざまな条件のシナリオについて、どのような被害が起きるのか統合的な予測を行う必要があります。「京」であっても、一つのシナリオの予測にもかなりの計算時間がかかるため、ポスト「京」の登場に期待が寄せられています。将来は、ポスト「京」で築いた地震・津波の統合的予測システムを、国や自治体などが防災や災害復旧に有効利用できるように実用化を進めようとしています。
私たちの暮らすIT社会は、数多くのデバイスや材料に支えられています。より健康で安心・安全な省エネ社会を目指すため、「京」では特に今後重要となるデバイスや材料のもとになる物質について、かつてない1000から1000万クラスの原子数のシミュレーションを行い、機能や性能の向上と電子状態の関係を調べています。ポスト「京」では、さらに複雑な構造や組成も考慮した現実に近いシミュレーションにより、産業化が可能な新しいデバイスや材料の設計を目指します。また、膨大な実験データとシミュレーションを融合させた新しい材料設計手法の開発にもチャレンジします。