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複合系気候科学研究チーム

K computer Newsletter No.2 : 研究チーム紹介

当研究チームでは、「京」をはじめ最先端の性能をもつスパコンに向けて気候シミュレーションモデルを開発しています。気候シミュレーションモデルとは、大気の流れをスパコン上にあらわした、バーチャルな地球です。方程式を使って、刻々と変化する大気の流れを表現します。計算機の性能が高ければ高いほど、より高い解像度(図)でのシミュレーションが可能となり、台風や前線、さらには一つひとつの雲まで詳細に表現できるようになります。我々の目的は、シミュレーションによって精度の高い気象予測や地球温暖化などの気候予測を実現するための基盤を整備することです。

そのためには大きく分けて2つの作業が必要です。1つは、解像度に合わせた計算手法の変更です。雲や乱流など気象を構成する要素の表現方法は解像度によって変わります。これらをどのように修正し、表現していくかがより良いモデルをつくる鍵となります。もう1つはモデル計算の高速化です。新しい計算機である「京」の能力を最大限に活用して計算できるよう、計算機科学の専門家とも協力しながら研究開発をしています。

計算科学研究機構には、理工学のさまざまな分野の人がいます。当研究チームにも、気象現象に詳しい人もいれば、数値計算手法やプログラミングに詳しい人もいます。このように多様な研究者の中で、化学反応を起こすがごとく、まったく違った視点で新しいアイディアを生み出すことをめざしていきます。

(伊賀晋一)

富田浩文チームリーダー(中央)とチームのメンバー

解像度とは、地球大気全体をどれだけのマス目で区切って計算を行うかという細かさの指標。例えば、解像度が低いと、1マスの中の雲の量はパーセンテージでしか表現できないが、解像度が高いと、マスごとに雲の有無を表現できるので計算精度が高くなる。

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