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可視化技術研究チーム

K computer Newsletter No.5 : 研究チーム紹介

可視化技術研究チームは、文字通り“見る”ための技術を研究しています。“見る”という言葉は、“理解する”と置き換えてもいいでしょう。物理や化学、生命のコンピュータシミュレーションの結果は、数字の集まりとして表現されています。この数字の塊の中から現象を読み解く上で意味のある部分を見つけ、人間にとって分かりやすく表現することが重要であることは明らかですね。

可視化研究のユニークな点は、いろんな研究領域の融合分野であることです。見る材料(イメージやグラフなど視覚的な情報)を作り出すには、周波数分析などのデータ処理やコンピュータグラフィクス技術が必要になります。一方、見る主体は人間の目ですから、人間側の認知特性や心理的な要因も研究対象となります。特に、京コンピュータは大規模なデータを生み出すので、巨大なデータを扱うための並列処理技術が欠かせません。また、作成されたイメージを効果的に見せるには、立体視や拡張現実(Augmented Reality)技術が大いに役に立つでしょう。

このように、様々な技術をツールとして組み合わせ、シミュレーションが生み出すデータの核心へと謎を解くように迫っていくことが可視化研究の醍醐味のひとつです。可視化は数学やプログラムを駆使してイメージを作る点で、アートにもつながる分野だと思っています。作り出したイメージを見て、ハッと思ってもらえる瞬間があると、とても嬉しいですね。可視化という技術の切り口をとおして、スパコンの成果に貢献することを目指しています。

(小野 謙二)

小野 謙二チームリーダー(中央)とチームのメンバー

強力集束超音波を利用した脳内腫瘍の治療シミュレーションの様子

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