連続系場の理論研究チーム
連続系場の理論研究チーム
この世の中をつくる最小の構成単位(=素粒子)は何なのか?また、それらに働く最も基本的な相互作用は何なのか?こうした素朴な問いは人類の有史以来のものであり、その答えを探す努力は現在においても続いています。
これまでに知られている素粒子には6種類のクォークと6種類のレプトンが存在します。これらに加えて、2012年7月には欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)においてヒッグス粒子(クォークやレプトンの質量に関係すると考えられている)とおぼしき新粒子が発見されています。また、自然界には「強い力」、「電磁気力」、「弱い力」、「重力」と呼ばれる4つの力が存在し、素粒子間の相互作用を担っています。重力や電磁気力はわれわれにとって馴染み深い力です。弱い力はβ崩壊という原子核の放射性崩壊などに関わっていますが、身近に感じることはありません。強い力は、太陽や夜空の星を輝かせている源であり、われわれの体を構成している様々な分子の中の原子核を構成している力でもあります。
素粒子とその相互作用の研究でミクロの自然界の極限を究めようとすることは、ビッグバン宇宙論を通じて初期宇宙や元素合成論との研究にもつながり、また量子性が本質的な役割を果たす点で原子・分子レベルの物質研究にも通じています。コンピュータシミュレーションを用いてこれらの研究を遂行するためには、「京」を含む最先端の高性能計算機に対して高い実効性能を追求しなければなりません。そのためには、従来とは異なるアルゴリズムの開発や計算手法の開拓が必要です。こうした課題を克服し、自然界の根源的な疑問に対する答えを探ること、それが当研究チームの目標です。
(藏増 嘉伸)
2013年3月15日発行