身近な例をあげると、車の開発じゃな。車のまわりの空気の流れは車の乗り心地や、安定した走り、燃費や騒音などに大きな影響を与える。だから空気の流れを正確に知るために、人工的に風をつくる実験施設(風洞)で試作車に風を当て、空気の流れ方や空気抵抗を分析するんじゃよ。これを風洞実験と呼ぶんじゃ。
実際の車に風を当てるなんて、大きな施設で実験をするんだね。
そうなんじゃ。当然実験を繰り返すのには費用も時間もかかる。
わかった!その実験の代わりにスパコンでシミュレーションをするんだね!
それはボクの出番だよ。
風洞実験の空気の流れを数値に置きかえて計算するんだ。
まず車体のまわりの空間を「格子」とよばれる小さなマス目に分割する。次にそれぞれの格子を出入りする質量、運動量、エネルギーに関する式を立てる。そして数千万から数億の計算式を解いて、空気が流れる速さや空気抵抗などの値を求めるんだよ。