理化学研究所 計算科学研究機構

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第106回

第106回
日時: 2017年2月8日(水)、15:30 – 16:30
場所: AICS 6階講堂

・講演題目: Pseudospectral 法を用いた二電子積分の高速化
・講演者: 澤田 啓介(量子系分子科学研究チーム)
※発表は日本語、スライドは英語。

講演要旨: 詳細を見る

二電子反発積分の高速な見積りは、あらゆる第一原理量子化学計算において重要かつ必須の研究テーマとなっている。二電子反発積分の計算コストは形式的にO(N4) (N: 基底関数の数)で増加するため、大規模分子系においては計算が困難とされてきた。この問題に取り組むために、様々な高速化の計算手法が開発されてきたが、その中でもpseudospectral(PS)法は、高速かつ効率的に二電子積分を見積る有力な手法となっている。PS法では1つの解析積分が、離散化されたグリッド点から成る数値積分の和によって置き換えられる。これによって、計算コストは形式的にO(N4) からO(MN2) (M: グリッド点の数)に減少させることができる。本研究では、量子化学計算コードNTChemへ実装されたPS法を用いて、二電子反発積分計算のMPI/OpenMP並列によるパフォーマンスと計算精度を調べた。 8,000基底以上の大規模系において、使用したCPUコア数に対する良好なスケーリングが示され、解析的手法よりも高速な二電子反発積分の見積りが可能であることが分かった。