理化学研究所 計算科学研究機構

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OVERVIEW 計算科学研究機構とは

複雑現象統一的解法研究チーム

複雑・複合現象のシミュレーション技術の構築とその産業界への展開

ものづくりの世界では、流体、熱、構造、音、化学反応などが連成する複雑・複合現象を対象としたシミュレーションが望まれている。これまで、こうした問題には、各現象に対して個別に開発された手法を組み合わせることで対応してきたが、「京」に代表されるHPC 環境を活用して手法のさらなる高速化や高精度化をねらう場合、手法間のデータ転送や補間のために、十分な計算性能を引き出せないという問題が生じる。我々のチームでは、「HPC 環境を活用した複雑・複合現象のシミュレーション技術の構築とその高度化利用、産業界への展開」を大きな目標として、統一的データ構造に基づく統合シミュレーションフレームワークCUBE を研究・開発している。具体的には、①「京」からポスト「京」へと向かう次世代アーキテクチャに対応した手法のさらなる高速化(リアルタイムシミュレーション)と、②実験を超えた実運転環境下での予測の精度向上(リアルワールドシミュレーション)をめざし、③次世代デジタルエンジニアリングを具現化するために、CUBE の多目的最適化を図り、データ同化技術やディープラーニング等を活用してCUBE の利用技術を高度化し、ものづくりの分野でのシミュレーションの可能性をさらに高める。

おもな研究成果

空力・車両運動連成シミュレーションにより実運転環境下での自動車高速走行性能評価を可能に
複雑現象統合シミュレーションフレームワークCUBE に、埋め込み境界法(IBM)に基づくオイラー・ラグランジュハイブリッド移動境界法を実装することで、6軸自由運動する自動車と車体周りの空気の流れを連成させたシミュレーションを可能にした。この手法を用いて、実際に車体開発に用いられている詳細車体CAD データから、データ修正なしにBCM 階層直交格子を作成し、自動車コーナリング時のタイヤホイールの回転や前輪舵角変化も考慮したリアルワールドシミュレーションを行うことに成功した。

この手法を用いることで、将来的にはCAD データから高速走行性能評価を行うことが可能となり、試作車両が存在しない設計上流側で、車両のさまざまな性能を統合的に最適化する新たな自動車ものづくりの可能性を示すことができた。

CUBEを用いた空力・車両運動連成シミュレーション

関連サイト

チームリーダー坪倉誠

チームリーダー
坪倉 誠(つぼくら まこと)

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アニュアルレポートRIKEN AICS Annual Report
FY2015
(PDF 7.69MB)
FY2014
(PDF 3.50MB)
FY2013
(PDF 7.67MB)
FY2012
(PDF 4.55MB)