利用者向け公開ソフト
理研AICSソフトウェアセンター
AICSソフトウェアセンターは、AICSで開発された
ソフトウェアの普及を支援する目的で
2017年に設立されました。
計算科学研究機構では、「京」ユーザ向けに下表のソフトウェアを公開しています。これらのソフトウェアは計算科学研究機構の共通基盤研究の一環として開発または「京」用に最適化したものです。なお、計算科学研究機構で取り組んでいるさまざまな分野のソフトウェアも順次公開・提供していく予定です。
ソフトウェアの詳細や利用方法は、AICS ソフトウェアセンター特設サイト(https://aics.riken.jp/software_center/jp/) または「京」利用者ポータルサイト※(https://k.aics.riken.jp) の「AICSソフトウェア」をご覧ください。
※京利用者ポータルサイトは京のアカウントを持っている方のみアクセス可能です。
また公開ソフトの講習会を随時開催中です。詳しくはこちらのページをご覧ください。
名称 | 機能概要 |
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システムソフトウェア研究チーム | |
Carp | Carpは大量データ間での全組合せに対する計算を、容易に並列実行するためのソフトウェアです。ユーザは並列プログラムを書くこと無く、逐次プログラムでデータ入力プログラムと計算/出力プログラムの2種類を開発するだけで、京やその他の並列計算機上での並列分散実行を実現できます。 |
EARTH on K | EARTH on Kは、MPI-IO高速化を目指した実装であるEARTH(Effective Aggregation with Throttling)を京向けに最適化したライブラリで、京のLocal File System(LFS)を用いたMPI-IOによる並列I/Oの高速化が可能です。 |
NetCDF | NetCDFはプラットフォームに独立なファイルを扱うためのライブラリ。Parallel netCDF、HDF5、Szip のライブラリを含む。Frontend、シリアル、MPIのそれぞれの環境でSzipありとなしの合計6環境を提供。 |
PRDMA (Persistent Remote DMA) |
Remote DMA (RDMA)が利用可能なインターコネクト上で通信レイテンシや計算と 通信の並行処理を改善するため、MPI標準の永続通信(Persistent Communication)プリミティブの高速実装を提供するライブラリ。 |
プログラミング環境研究チーム | |
MUMPS | 連立一次方程式を直接解法で解く高並列数学ライブラリ。 |
Omni XcalableMP | Fortran および C の拡張として定義された指示文ベースの並列言語 XcalableMP のコンパイラ。 ※XcalableMP講習会資料 |
Scalasca | Scalascaは、MPI、OpenMP、MPI /OpenMPハイブリッドを使ったプログラムや並列プログラミング言語(XcalableMP/C)のプログラムの性能最適化を支援するためのツール。 特に通信や同期でのボトルネックになっているところを特定し、その原因を調査するために使う。 |
大規模並列数値計算技術研究チーム | |
EigenExa | EigenExaはEigenKの後継として「京」コンピュータでの性能チューニングが施された標準固有値問題のための高性能固有値計算ライブラリ。EigenK同様に密対称行列を対象として大規模並列計算はもちろん小規模問題でも既存の固有値ソルバよりも高速に計算できる。 ※公開ソフト開発者へのQ&A |
EigenK | EigenKは「京」コンピュータのアーキテクチャを意識して開発された標準固有値 問題のための固有値計算ライブラリ。密対称行列を対象として大規模並列計算はもちろん小規模問題でも既存の固有値ソルバよりも高速に計算できる。 |
KMATH_RANDOM | 高品質な乱数として知られるメルセンヌツイスター乱数生成器を並列分散環境で使用するための数学ライブラリ。Fortran90, C, C++から利用可能。 |
利用高度化研究チーム | |
CCA/EBT (Code Comprehension Assistance for Evidence-Based performance Tuning) |
プログラムの高性能化を行う際には、対象となるプログラムの構造の理解が不可欠となる。 本ツールは、Fortranで記述されたプログラムの構造理解を支援するため、ループと関数呼び出しのアウトラインを生成し、演算出現カウント等のメトリクス情報を付加して表示する。 |
Extrae | ExtraeはFortran、 C、 C++等の言語によって書かれた並列実行アプリケーションの性能解析を行うためのParaverトレースファイルを生成するパッケージである。 |
Eclipse PTP for K and FX10 computers | Eclipse PTPという統合ソフトウェア開発環境を「京」コンピュータおよびFX10で使うために必要なソフトウエア。以下の2つのパッケージを含んでいる。 (1) 「Target System Configurations」 Eclipse PTPから京やFX10でジョブを実行するときに必要なものである。 (2) 「LML DA Driver for PJM」 京やFX10のユーザーのホームディレクトリーにインストールするもので、モニタリングに必要なものである。 |
TAU | TAUは Fortran, C, C++ で書かれた並列プログラムの性能解析ツール群である。プログラムの性能測定、解析、可視化などの機能を持ち、総合的に性能解析を支援する。 プロファイル機能を使用することによって、各関数の実行時間 (inclusive/exclusive)、関数呼び出し回数、一回の呼び出しにあたっての平均実行時間などを知ることができる。またトレース機能を使用することで、プログラム実行中の各イベント (MPI通信など)がいつ・どこで発生したか、プロセスやソースコード等の単位で知ることができる。 |
Xcrypt | 並列ジョブ制御スクリプティング言語Xcryptを「京」上に実装。統一的で使いやすいユーザインターフェイスを提供。 |
離散事象シミュレーション研究チーム | |
OACIS (Organizing Assistant for Comprehensive and Interactive Simulations) |
OACISはMacやLinux系OSがインストールされた計算機上でウェブサーバとして動作するシミュレーション実行管理ソフト。ユーザが、シミュレーション条件を与えると、OACISは、実行スクリプトの生成、京コンピュータなどの計算ホストでの実行、そして、シミュレーション結果の取り込みを自動的に行う。 ※第3回講習会 準備資料、 第3回講習会 session1、 第3回講習会 session2 |
量子系分子科学研究チーム | |
NTChem | NTChemは一から設計をした新しい国産分子科学計算ソフトウェア。既存ソフトウェアの持つ多くの機能をカバーしつつ、他のプログラムでは利用することのできない多くの量子化学計算法を含んでいる。「NTChem」の第一版には数千原子分子系に対する第一原理電子状態計算や数百原子分子系の化学反応過程追跡計算を実現するための分子科学理論が実装されている。さらに、京コンピュータなどのマルチコア超並列クラスタ計算システムの性能を引き出すことが可能な並列アルゴリズムが実装されている。 ※第4回ワークショップ資料(演習第二部)、 第4回ワークショップ資料(基本操作実習) |
量子系物質科学研究チーム | |
2D-DMRG | 2D-DMRGは、強相関系の研究を目的として開発された密度行列繰り込み群法(Density Matrix Renormalization Group, DMRG)のプログラムです。京コンピュータの利用を想定して開発されており、大規模並列計算に対応しています。密度行列繰り込み群法は、通常、1次元系の研究に利用されますが、この2D-DMRGは2次元系を初めとする多次元系への応用を想定して開発されており、任意の形状、様々なタイプの量子格子模型に対応しています。 |
粒子系生物物理研究チーム | |
GENESIS | GENESISは高機能・超並列な分子動力学計算ソフトウェア。SPDYN、ATDYNという二つのプログラムが存在しており、SPDYNは超並列計算、ATDYNはマルチスケールシミュレーションやレプリカ交換分子動力学法を可能としている。 ※2015/9/4 講習会資料 |
粒子系シミュレータ研究チーム | |
FDPS (Framework for Developing Particle Simulators) |
FDPSは、「京」のような超大規模並列計算機の上で効率的に実行できる粒子系シミュレーションソフトウェアを容易に開発できるようにするためのアプリケーション開発プラットフォームである。FDPS を使えば、チューニングや並列化の経験がない人でも数万ノードまで性能がスケールする粒子系アプリケーションを開発できる。 ※第6回講習会(1. イントロダクション)、 第6回講習会(2. 概要説明)、 第6回講習会(3. C++について)、 第6回講習会(4. FDPSのAPIと内部構造)、 第6回講習会(5. サンプルコード編) |
複合系気候科学研究チーム | |
SCALE | 気象シミュレーション用のライブラリおよびそれを利用した気象ラージエディーシミュレーションモデル。超並列計算機システムで性能を出せるよう、計算科学と計算機科学の専門家とのコデザインにより設計されている。 |
プログラム構成モデル研究チーム | |
Apache Spark | Spark は Apache Software Foundation で開発されているビッグデータ処理フレームワークであり、この度、京で使えるように構築した。同時に、Sparkで一緒に使用することが多い、R言語も利用可能となっている。ジョブを実行する上で必要なスクリプト群も用意している。 |
KMR (K Map-Reduce) | ポスト処理等のデータ処理を容易に記述するためのライブラリ。定評のあるデータ処理ツールmap-reduceを「京」上で提供。 ※KMR Tutorials |
llvm-sparc64fx | SPARC64 富士通拡張命令を利用できるようにパッチの当たったLLVMコンパイラ。 |
可視化技術研究チーム | |
CIOlib | 直交等間隔格子の分散並列ファイルの管理機能を提供する。 |
CPMlib | 領域分割型のアプリケーションを記述するためのミドルウェア。データ領域確保、並列領域管理、通信などの機能を提供。 |
Cutlib | ポリゴンデータと背景格子との交点計算を行うライブラリ。直交格子、BCM格子、8分木格子に対応。 |
FFV-C | FFV-Cは、直交格子を用いて、短時間で複雑な形状まわりの流れをシミュレートできる三次元非定常熱流体シミュレータです。本シミュレータは、流体解析における困難な課題である格子生成を自動化し、大規模な計算を短時間で行えることが特徴です。また、「京」の全てのプロセッサを用いて90%以上の弱スケール性を達成するチューニングが施され、工学分野の 実設計課題を支援できるように様々な機能開発を行っています。 |
KFoundation | AICSで開発された汎用C++APIを収集。下記のAPIが含まれます。 (1)自動メモリ管理を備えた定数時間計算複雑性の性能および向上の安定性とデバッギング機能 (2)XMLとJSONなどとの互換性のオブジェクトのシリアル化・逆シリアル化 (3) ネットワークI/Oを含む、多様なI/Oストリーム (4)マルチチャンネル・マルチレベルのロガー (5)エクセプションを備えた出力・シリアライズ可能なスタックトレース (6)分散ステンシル計算をアシストするための「Range Arithmetics」 (7)Thread、Mutex、ConditionおよびJavaに類似するSystemクラス |
libKnoRBA | KnoRBAエイジェント作成のためのC++ライブラリです。知識リクエスト・ブローカ・アーキテクチャ又はKnoRBA(ノルバ)技術は汎用コンポーネント・モデルとして「オブジェクト」の代わりに「エイジェント」が使う世界初の分散システム開発プラットフォームです。高度な抽象化レベルでの自律性、ポータビリティ、柔軟性、拡張性、および安定性の提供を目的としています。このライブラリで作成したエイジェントはKnoRBA Agent Runtime Environment (ARE)を使用し、クラスターや他の分散システムでの実行が可能です。 |
HIVE | HIVEは、大規模並列環境で高い性能を発揮する利便性の高い可視化システムで、「京」の上で多数のノードを用いた並列レンダリングが可能です。「京」以外にも多くの計算プラットホームで動作し、リモート/ローカル動作、高並列性能、機能拡張性、移植性、メンテナンス性などを考慮して開発されています。現在、ベータ版で、Mac, Linux向けのバイナリパッケージを配布しています。 |
PMlib | プログラムの性能測定と統計情報を表示するツールで、プロセスグループやPAPIにも対応。被測定ルーチンは利用者が指定可。 ※第5回講習会(講義)、 第5回講習会(ハンズオン) |
Polylib | 領域分割型の並列計算で物体の形状情報等を管理するライブラリ。シミュレーション入力データ作成および結果の可視化に使用。 |
TextParser | YAML的な記述方式の構造化されたテキストファイルを読み・書きするライブラリで、シミュレータの入力パラメータ記述などに利用。 |
ソフトウェア技術チーム | |
K-scope | Fortran向けプログラム解析ツール。本ツールを用いることでコードの全体把握が容易となる。(本ソフトは「京」上ではなくユーザの端末上で動作する。) |
一発性能分析 1PAtool | 京コンピュータにおいて、精密PA可視化機能によるプロファイラ結果として取得した、基本性能分析と実行時間分析の結果を、京のログインノードにて、表示またはcsvファイルへの出力を行うツールです。 |
システム運転技術チーム | |
Kを待ちわびて | ジョブが実行されるまでの予想待ち時間を計算、表示するツール群。 |
注) これらのソフトウェアは富士通が提供・サポートする「京」向けソフトウェアとは異なり、計算科学研究機構が独自に提供・サポートするものです。
問合せ先: HPCI運用事務局 ヘルプデスク
TEL: 078-940-5795 FAX: 078-304-4959
Email: helpdesk[at]hpci-office.jp
※[at]を@に変更してください