理化学研究所 計算科学研究機構

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OVERVIEW 計算科学研究機構とは

離散事象シミュレーション研究チーム

連続関数だけでは記述しきれない現象や数理モデルのシミュレーション

当研究チームでは、分子や粒子の集団が示す現象を統計物理学に基づいてシミュレーションにより研究してきた成果を活かし、連続な関数だけでは記述しきれない、いわゆる離散事象が核心となる問題を「京」・「ポスト京」をはじめとするスーパーコンピュータでシミュレートし、解析するための技術開発・基礎研究に取り組んでいる。現代のデジタルコンピュータは、0と1という離散的な状態を活用して設計され動作しており、0の場合と1の場合とではまったく異なる処理が進む。これは離散事象の例である。交通・経済・病気の流行などといった社会現象でも離散事象は重要である。自動車が直進するか右折するか、財を売るか買うか、免疫があるかないかによって、その後の経過は大きく異なる。そして、離散事象の連鎖からさまざまな変化が生じる。こうした離散事象は、物質の性質・環境・気候変動・医療・創薬・ものづくり・防減災をはじめ、ほぼあらゆる問題で重要となる。当研究チームでは、こうした離散事象の発生と連鎖をスーパーコンピュータで扱い、記述し予測するための基盤ソフトウェアおよび数理モデルの開発を進めている。

おもな研究成果

実行管理アプリケーションの開発
離散事象がかかわる問題を研究する際には、非常に多くのシミュレーションを実行し、系統的に解析する必要がある。スーパーコンピュータを用いれば、数十万の小規模シミュレーションを実行可能だが、実行・解析には非常に手間がかかるため、シミュレーションを円滑・確実に実行・解析するための仕組みが不可欠となる。

当研究チームでは、この問題を解決するためのソフトウェアを開発している。その一つが現在公開中の“OACIS”である。これはさまざまな条件での多数のシミュレーションの実行・管理・解析を支援するソフトウェアであり、社会シミュレーションをはじめロボットの評価や物質設計などに理研の内外で活用されている。

当研究チームではこれまでに、OACISと「京」などのコンピュータを活用して交通・経済・社会関係などの現象の研究に取り組んできた。その結果、例えば以下のような成果を得た。

  • 都市の自動車交通における各道路の重要性を分析する手法を開発し、神戸市に適用して自動車交通の因子の候補を特定した。
  • 災害から避難する際に隘路となる要素を特定する手法を開発し、金沢市や鎌倉市の沿岸部に津波が来た場合に円滑な避難を妨げる要素の候補を特定した。

OACISの構成図:中央部分の点線内がOACIS本体である

講習会資料など

チームリーダー伊藤伸泰

チームリーダー
伊藤 伸泰(いとう のぶやす)

略歴: 詳細を見る
アニュアルレポートRIKEN AICS Annual Report
FY2015
(PDF 229KB)
FY2014
(PDF 1.03MB)
FY2013
(PDF 514KB)
FY2012
(PDF 88.6KB)