理化学研究所 計算科学研究機構

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Events/Documents イベント・広報

「ポストムーアに向けた計算機科学・計算科学の新展開」シンポジウム (12月22日) 開催報告

ポストムーアに向けた計算機科学・計算科学の新展開

2015年12月22日に「ポストムーアに向けた計算機科学・計算科学の新展開」と題したシンポジウムが東京大学にて開催され、大学、研究機関、企業等から全体で164名の参加者がありました。

ムーアの法則とは

コンピュータの心臓部であるCPUの性能はこれまで過去数十年間劇的に向上してきましたが、それを支えてきた大きな要因がトランジスタ(電気の流れをコントロールする部品)の集積度向上です。集積度の向上により、以前より多くのトランジスタがCPUに使えるようになると、それによって周波数の向上やコア数の増加が可能になり、より高速なCPUが実現されてきました。これまでこのトランジスタの集積度向上率については、およそ2年で2倍という経験則、いわゆる「ムーアの法則」がなりたっていましたが、様々な技術的課題により集積度の向上率が鈍化しつつあります。

「ポストムーア」の時代が10年後に到来?

「ポストムーア」とはムーアの法則終了後、すなわちトランジスタ集積度の大きな向上が終焉した状態をさし、およそ10年後にはそのような状態になるだろうと見込まれています。スパコンに限らず、パソコンやスマフォなどのIT機器はこれまでムーアの法則によって急速に性能が向上してきましたが、ポストムーアではそれが止まってしまう恐れがあります。

パネルディスカッションでモデレータを行う丸山チームリーダー。

パネルディスカッション「ポストムーアに向けた研究開発の展望」でモデレータを行う丸山チームリーダー

新たなブレイクスルーを目指して

「ポストムーアに向けた計算機科学・計算科学の新展開」シンポジウムではポストムーア時代、すなわちトランジスタ集積度の向上に依らずにシミュレーション等のアプリケーションを高速化するための研究開発について議論が行われました。例えば、通常のCPU等の汎用的なプロセッサに加えて専用ハードウェアを用いる方法や、これまでとは全く異なる構成方法によるプロセッサなどについて、その現状の課題や今後の展望などについて議論されました。また、同様に今後のさらなる発展が見込まれている不揮発性メモリ等の新しいメモリシステムについても議論が交わされ、科学技術シミュレーション等においてそれらを如何に有効に活用していくか、またそのためにはどのような基礎研究が必要とされているかなどについて意見交換がなされました。

シンポジウム発表資料は主催者ウェブサイトをご覧ください。

「ポストムーアに向けた計算機科学・計算科学の新展開」シンポジウム
New Frontiers of Computer & Computational Science towards Post Moore Era
http://www.cspp.cc.u-tokyo.ac.jp/p-moore-201512/