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Science 研究成果

研究成果 ピックアップ

研究成果事例をピックアップして紹介します。
※「京」、ポスト「京」関連の研究成果については、理研以外の研究機関による成果も含まれます。
※成果の最新情報については、新着情報もあわせてご覧ください。

2014年08月28日更新

熱帯域におけるマッデン・ジュリアン振動の1ヵ月予測が実現可能であることを実証

マッデン・ジュリアン振動(MJO(※))は、熱帯域における主要な大気変動であり、全球に影響を及ぼします。今回「京」を利用して、地球全体で雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像モデル「NICAM(ニッカム)」による数値実験を実施し、約1ヵ月先まで有効な予測が可能であることを実証しました。本成果によりNICAMの優れたMJO予測精度が初めて実証されたことから、地球規模の大気変動の様子を早期に把握できるようになり、日本付近の季節予報や台風発生予測の精度向上にも貢献することが見込まれます。未だ解明されていないMJOのメカニズムについても、観測では捉えきれない部分を本シミュレーションデータが補完することにより、その本格解明に向けて大きく寄与することが期待されます。

※マッデン・ジュリアン振動(MJO): 主にインド洋で発生する水平規模が数千㎞にも及ぶ巨大な積乱雲群が赤道に沿って東進する、周期が30~60日の大気変動

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JAMSTECプレスリリース

東京大学海洋大気研究所プレスリリース

東京大学理学系研究科プレスリリース

2014年08月8日更新

濃い液体が秘める新機能を発見、新世代の電解液へ
~スーパーコンピュータ「京」により高濃度電解液の動作原理が解明~

東京大学と京都大学、物質・材料研究機構(NIMS)は、リチウムイオン電池の急速充電、高電圧作動を可能にする電解液を開発し、スーパーコンピュータ「京」を用いて作動メカニズムを解明しました。この新規な電解液は、超高濃度のリチウムイオンを含む“濃い液体”であり、「高濃度=反応が遅く電解液に適さない」という通説を覆すものです。また、既存の電解液にはない「高速反応」と「高い分解耐性」という新機能を有します。今後、この電解液を応用することで、従来の3分の1以下の時間での急速充電や電気自動車等への実用に耐えうる高電圧で作動するリチウムイオン電池の実現が期待されます。

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東京大学プレスリリース

物質・材料研究機構プレスリリース

2014年08月8日更新

「京」を用いてメタンハイドレートが分解する仕組みを解明

世界で初めて、メタンハイドレートが分解してメタンが発生するメカニズムを分子レベルから明らかにしました。メタンハイドレートは水とメタンからできたシャーベット状の塊です。エネルギー資源として注目されていますが、分解の詳しいメカニズムはわかっていません。今回の「京」での解析から、ハイドレートが分解する際に過度にメタンが溶け込んだ水ができ、そこから発生したメタンの気泡がハイドレートの分解をさらに促進することがわかりました。これは、気泡の発生をコントロールすることでメタンハイドレートの分解を制御できる可能性を示しており、効率的にメタンを採取する方法の開発に役立つと期待されます。

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岡山大学プレスリリース

参考ページ

torrent No.7(日本語版)「水素・メタンハイドレートの生成、融解機構と熱力学的安定性」

torrent No.7(日本語版)「メタンハイドレート分解過程の微視的機構」

2013年12月5日更新

「京」の計算速度をさらに加速
~新開発ソフトウェア「EigenExa(アイゲンエクサ)」~

新開発のソフトウエア、「EigenExa(アイゲンエクサ)」が、「京」のシミュレーションで使用するアプリケーションの計算速度を飛躍的に向上させることを実証しました。実際にこのソフトウェアを「京」で使い、世界最大規模である計算(100万×100万の行列での固有値計算)を行った結果、これまで1週間程度かかると考えられてきた計算時間を、わずか1時間に短縮することに成功。今後、半導体のデバイス設計や新材料開発、新薬の探索などを行うための大規模コンピュータシミュレーションに加え、バイオインフォマティクス(※)や社会科学などで用いられるデータの相関関係を解析するスピードアップに期待が寄せられます。この「EigenExa」は一般にも公開されています。

※バイオインフォマティクス・・・生物情報科学ともいい、ゲノムなど生物に関係する膨大なデータをコンピューターで解析する研究分野。

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理化学研究所プレスリリース

計算科学研究機構 利用者向け公開ソフト

2013年09月20日更新

「京」を利用した世界初の超高解像度
全球大気シミュレーションで積乱雲をリアルに表現
~台風や集中豪雨などの発生メカニズムの解明に寄与~

スーパーコンピュータ「京」を使って水平格子間隔1 km未満の超高解像度の全球大気シミュレーションを行うことに世界で初めて成功し、この結果から水平格子2 km未満の解像度にすることでこれまでは詳細に表現することが難しかった積乱雲を非常に良く表現できることを明らかにしました。本研究により、一つ一つの積乱雲から全球規模の積乱雲群との相互の関係をより正確に調べることが可能となり、甚大な被害をもたらす積乱雲群である台風や、集中豪雨などの発生メカニズムの解明、雲の気候への影響の研究などに寄与することが期待できます。

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理化学研究所プレスリリース

2013年09月11日更新

「京」を使って世界最大の脳神経シミュレーションに成功
~脳全体のシミュレーションの研究への第一歩~

「京」を使って世界最大の脳神経シミュレーションに成功しました。(理研、ユーリッヒ研究所(ドイツ)、沖縄科学技術大学院大学の共同チームによる研究)10兆個の結合の神経回路のシミュレーションは、過去最大の規模です。ただしこれは巨大な人間の脳の神経回路の1%です。今回の成功では人間の脳全体のシミュレーションに必要なメモリー量と計算速度の比率が分かり、その結果を今後のスパコンの開発やソフトウェアの設計に活かし、脳全体のシミュレーションの研究を進めていくことが期待されています。

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理化学研究所プレスリリース(日本語版)

理化学研究所プレスリリース(英語版)

沖縄科学技術大学院大学ニュースセンター

ユーリッヒ研究所(英語)

2013年09月10日更新

広域にわたる地震津波の複合災害シミュレーションの開発
~地震津波の発生、伝播の解明から被害予測、避難への活用~

南海トラフ巨大地震への備えの面からも、地震発生の仕組みから地震や津波が伝わる過程の解明ならびに都市での被害予測、避難誘導の効果を明らかにすることは重要です。
そこで「京」を用いて、地震津波の広域複合災害の精緻なシミュレーションの開発を行っています。東日本大震災における実際の被害との比較により計算結果の検証を行うとともに、被害予測や効果的な避難シミュレーションなどの開発を進めています。

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2013年09月10日更新

エネルギー問題を解決する新物質・新材料の開発
~電池、メタンハイドレートの研究にも役立つ「京」~

急速に需要が高まる電池市場。「京」を用いて、電池性能の鍵となる電極材料や電解質の性能への影響評価を行っており、今後は新しい材料を探索し、その最適な組合せを探します。また次世代のクリーンエネルギーとして注目されているメタンハイドレート(※)の研究では、「京」を使った大規模なシミュレーションの結果を、効率的にメタンを採取する方法に役立てようとしています。このように「京」は、物質の性質の解明や、様々な環境が物質に与える影響の予測などを行い、創エネルギー、省エネルギーにつながる新しい材料を創り出す研究に貢献しています。

※メタンハイドレートはメタン(天然ガス)が水と結合してできた固体。日本近海にも多く埋蔵されていると言われています。

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2013年09月10日更新

コンピュータによる解析と予測に基づく効率的な医薬品開発
~汎用コンピュータで約2年かかる計算を「京」により5時間45分に短縮~

創薬は、病気の原因タンパク質を見つけ出し、それに結合する新規化合物を創ることといえます。実験では、膨大な数の候補化合物全ての結合を確認できないため、研究開発者の勘と経験、運に頼るところが多く、成功率は2万分の1と言われていました。今回「京」の登場により、世界最大規模の189.3億通りのタンパク質と化合物の組み合わせの結合予測について、これまで使っていたコンピュータでも約2年かかる計算が5時間45分に短縮されました。医薬品の効果が正確に予測できることで、開発の成功率向上、開発期間の短縮、またコスト低減の実現に近づきます。

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2013年09月10日更新

「京」で初めて実現できる、“流れ”の詳細なシミュレーション
~乗り心地、走行安定性、騒音などへの影響を高精度で把握~

車や船の周りの水や空気の流れには細かい渦が無数にあります。「京」を用いることにより1mm以下の渦も含めてシミュレーションが可能になりました。風洞(※)や水槽を用いた実験と同レベルの精度で流れを把握できることから、大型の試験設備を使わずに乗り心地や走行安定性、あるいは騒音などの快適性への影響を評価できるようになりました。車や船の開発期間の大幅短縮も期待されます。

※風洞:風を人工的に起こすトンネル型の装置。風洞を用いて自動車などが気流から受ける影響を計測することにより、製品開発・設計のためのデータを得ることができます。

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