三菱総合研究所 理事長 東京大学総長顧問 小宮山 宏
爆発する知識にいかに対応するか
「有限の地球」「高齢化する社会」「爆発する知識」、この3つが21世紀のパラダイム、このうちの「爆発する知識」にどう対応するか、ここにスーパーコンピューターの活躍の場がある。20世紀にはあらゆるものが爆発的に増えた。その中でも最も増えたのが知識である。正確なところはわからないが、1,000倍~1万倍に増えている。
しかしながら、人類はこれらの知識を使いこなすことはできない。全ての知識を使って判断するような問題は存在しないが、科学が細分化している現在、複雑化する社会で起こる問題を専門家が全体を見通して科学的に解決することは不可能に近い。最終的な結論は、専門家数人によって出すとしても、その判断材料の作成には膨大なデータを瞬時に解析するスーパーコンピューターの人知を超えた能力が必要である。世界全体が混迷を深める中、「京」の世界一の計算力が地球的課題を解決する支えとなることを期待する。