ポスト「京」は、「京」よりもさらに多くの計算ノードと呼ばれる計算機から構成され、それぞれの計算ノードには沢山のCPUコアが統合されたCPU(メニーコアCPU)が搭載されます。このような大規模な計算機を効率よく管理・制御し、アプリケーションプログラムの最適実行環境を提供するシステムソフトウェアを実現するために、我々は様々な課題に取り組んでいます。システムソフトウェアとはハードウェアを管理・制御するソフトウェアのことです。ここでは、その中から、3つの課題を紹介します。
● メニーコアCPUの管理
アプリケーションに対して、どのようにCPUコア群とメモリを割り当てるか、そしてアプリケーションがシステムソフトウェアに要求するサービス内容によって、アプリケーションの実行性能が大きく変わります。現在広く使われているLinuxシステムソフトウェア上で動作しているアプリケーションを改変することなく、メニーコアCPU上でアプリケーションが要求するサービスのみを提供し最適な実行環境を提供するシステムソフトウェアを開発します。
● 通信速度
計算ノードの性能向上に比べ、計算ノード間の通信遅延の改善は大変難しい課題です。沢山の計算ノードを使ったアプリケーション実行では通信速度が実行性能に影響します。アプリケーション開発者との協調設計により、通信遅延を短くする通信ソフトウェアを開発します。
● 大容量データ転送
従来の計算機ではアプリケーションが実行される毎に必要なデータが、グローバルストレージからローカルストレージそして計算ノードへと転送され、計算後、結果のデータが逆の順番で転送されていました。通常、データ転送時間を短くするために高速ネットワークが必要ですが、そのためのハードウェアおよび電力が必要となり費用もかかります。そこでネットワークハードウェア量を増やさず、アプリケーションが要求するデータを最適配置し転送時間を短くするためのソフトウェアを開発します。