理化学研究所 計算科学研究機構

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OVERVIEW 計算科学研究機構とは

システムソフトウェア研究チーム

高性能計算・ビッグデータ・AIのためのシステムソフトウェア開発

当研究チームは、「京」、ポスト「京」、ポスト「京」の次システムに対して、ユーザ環境の継続性と利便性を考慮しながら先端的システムソフトウェアスタックの整備および研究開発を行っている。具体的には、以下のシステムソフトウェアスタックに取り組んでいる。

  • OS カーネル
    メニーコア型並列計算機向け軽量カーネルMcKernel を開発している。Linux API を有しLinux で動作するアプリケーションはMcKernel 上で効率よく動作する。Intel 社の最新Xeon Phi であるKNL 上で稼働している。
  • MPI 通信ライブラリ
    アルゴンヌ国立研究所が中心となって開発しているMPI 通信ライブラリの一実装であるMPICH 通信ライブラリを、「京」およびポスト「京」に実装している。 特に、ポスト「京」の通信ハードウェアを効率よく利用できる機構を開発している。
  • ファイルI/Oミドルウェア
    実時間ジョブ間ファイルI/O を実現するDTF、tar フォーマットを有する並列I/OライブラリFTAR を開発している。実時間ジョブ間ファイルI/Oを実現するDTF、tarフォーマットを有する並列I/OライブラリFTARを開発している。

おもな研究成果

Linux コンパティブル軽量カーネルMcKernel の開発
HPC分野では、超並列性と深いメモリ階層の導入によりさらなる計算性能向上を図ろうとしている。これらを効率よく利用する新しい実行時環境が必要とされている。実現手法の一つとして新しい軽量カーネル(LWK)を用いる方法があるが、LWK は 一部のPOSIX API のみしか提供していない。しかし、近年ニーズが高まっているin-situ ビッグデータ解析やワークフローなどではPOSIX / Linux のもつ豊富なAPI が必要とされる。これら矛盾する要求を満たすために、我々はLinux と軽量カーネル(LWK)が計算 ノード上で同時に稼働するハイブリッドカーネルを設計・実装してきた。このLWK をMcKernel、LinuxカーネルとLWK の間のインタフェースをIHK と呼ぶ。McKernel はハードウェアを再起動せずにLinux カーネルから起動される。 Linux で動作するバイナリはMcKernel でも動作する。McKernel ではメモリ/ プロセス/ スレッド管理などの性能を重視する機能のみが実装され、残りはLinux に委譲される。
McKernel の特徴の一つはOSノイズの少ない環境を提供していることである。
サンディア国立研究所が提供するFixed Work Quanta ベンチマークは、固定CPU 負荷をかけたときに実行時間がどれだけずれるかを計測する。 このベンチマークで、McKernel では実行時間が一定だが、Linux では大きな実行時間差が生じることが示された。

今後の予定

McKernelは筑波大学と東京大学による最先端共同HPC基盤施設において運用されているOakforest-PACSで一般利用される予定。

関連サイト

PCクラスタコンソーシアム

チームリーダー 石川 裕

チームリーダー
石川 裕(いしかわ ゆたか)

略歴: 詳細を見る
アニュアルレポートRIKEN AICS Annual Report
FY2015
(PDF 927KB)
FY2014
(PDF 2.90MB)
FY2013
(PDF 1.69MB)
FY2012
(PDF 1.32MB)
FY2011
(PDF 325KB)