理化学研究所 計算科学研究機構

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OVERVIEW 計算科学研究機構とは

量子系分子科学研究チーム

日本発の「理論」+「ソフトウェア」+「京」で理論先導の化学を牽引

当チームの目標は、ナノマテリアルや生体分子に代表される大規模で複雑な分子系の化学反応・物性・機能をミクロの立場から理論先導で解明・予測するため、次世代の理論分子科学の基盤を構築することである。さらに、「京」のような超並列計算機を有効に利用することで、分子科学が対象とするさまざまな問題と課題を解決することを目標にしている。具体的な達成目標は以下の3 点である。

①次世代分子理論に基づいた理論分子科学の展開
従来の分子理論が抱える問題点を克服し、ブレークスルーを達成することで、予測性を備えた理論先導の分子科学を確立する。そのために、大規模で複雑な分子系の反応・性質・機能をミクロの立場から理論先導で解明するための次世代分子理論とそのための計算手法を構築する。

②超並列計算機環境に資する分子科学計算ソフトウェアの開発と提供
「京」のような超並列計算機環境を有効に活用できる分子科学計算ソフトウェア「NTChem」を開発し、共用利用できるように整備・公開する。

③ハイスループット・コンピューティングによる新材料設計
「京」を利用したハイスループット・コンピューティングにより、マテリアルズ・インフォマティクス手法を用い、太陽電池材料や人工光合成材料に対し、実験に先行した新材料設計を実現することで、エネルギー・環境問題の解決につなげる。

おもな研究成果

超並列計算機環境に資する分子科学計算ソフトウェア「NTChem」の開発
量子化学計算ソフトウェアは物質科学・生命科学などの多くの分野の共通基盤である。コンピュータの高度化・高性能化に伴い、大規模な分子系を高精度に計算する要望は急速に増しつつある。しかしながら、既存ソフトウェアの多くは単一プロセッサの時代に設計・開発されたものであり、その拡張としての単純な並列化は可能ではあるが、「京」のような超並列計算機においては並列化効率が問題となる。全系丸ごとの分子計算に関していえば、2017 年現在では1000 原子分子程度の第一原理電子状態計算が上限で、新規の機能発現などが期待できるナノスケールサイズの数千~1 万原子系に対する計算は不可能である。「京」の圧倒的な計算資源を活かすためには、超並列計算が可能で一般ユーザが利用できる分子科学計算ソフトウェアの開発が急務である。そこで、幅広い分野の多くのユーザの利用に資する汎用分子科学計算ソフトウェアNTChem の開発を行っている。

NTChem は一から設計をした新しい国産分子科学計算ソフトウェアである。既存ソフトウェアのもつ多くの機能をカバーしつつ、新たに開発してきたオリジナリティの高い理論手法の集大成でもあって、他のプログラムでは利用することのできない多くの量子化学計算法を含んでいる。さらに、「京」などのマルチコア超並列クラスタ計算システムの性能を引き出すことが可能な並列アルゴリズムが実装されている。

NTChemの電子相関計算部の「京」での並列性能

関連サイト

チームリーダー中嶋隆人

チームリーダー
中嶋 隆人(なかじま たかひと)

略歴: 詳細を見る
アニュアルレポートRIKEN AICS Annual Report
FY2015
(PDF 294KB)
FY2014
(PDF 349KB)
FY2013
(PDF 1.10MB)
FY2012
(PDF 1.39MB)
FY2011
(PDF 495KB)