- 1985
東京大学教養学部基礎科学科第二卒業 - 1987
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修士課程修了 - 1990
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了(学術博士) - 1990
東京大学教養学部助手 - 1994
東京大学教養学部助教授 - 1999
東京大学大学院理学系研究科助教授 - 2006
国立天文台理論研究部教授(2008 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト教授) - 2011
東京工業大学大学院理工学研究科理学研究流動機構教授 - 2012
AICS粒子系シミュレータ研究チーム チームリーダー(兼務) - 2013
東京工業大学地球生命研究所 教授 - 2014
AICSエクサスケールコンピューティング開発プロジェクト(現FS2020プロジェクト)副プロジェクトリーダー(兼務) - 2016
神戸大学大学院理学研究科 惑星学専攻 教授(現職)
粒子系シミュレータ研究チーム
大規模な粒子系シミュレーションコードをだれでも作成できるようにするためのフレームワークを開発
数値シミュレーションで扱われるシステムは、規則格子系、不規則格子系、粒子系に大別される。計算機環境が進歩し、大規模なシミュレーションが可能になるに従って、より現実的で複雑なシステムを扱うことが可能になり、そのために、形状や境界条件に柔軟に対応できる不規則格子系や粒子系の手法が重要性を高めている。
しかし、不規則格子系や粒子系を、「京」やポスト「京」のような大規模並列システムで効率よく扱えるプログラムを開発することは容易ではない。適切なロードバランスを実現するための領域分割、領域間の粒子等の移動、領域にまたがった相互作用計算等の複雑な処理を効率よく実現する必要があるからである。一方、大規模な粒子系シミュレーションでは必ずこのような処理が必要になる。
本研究チームでは、粒子系シミュレーションであればどのようなものにでも使える「粒子シミュレーションソフトウェア開発フレームワーク」FDPS を開発している。
FDPS は、アプリケーション側で定義した粒子データ型や粒子間相互作用を計算する関数を受け取り、それらを扱うための関数群を提供する。それらを使うことで、アプリケーション開発者は並列化やチューニングに多大な時間を割くことなく、解きたい問題に集中できる。
おもな研究成果
汎用・超高速の粒子系シミュレーションソフトウェア開発フレームワーク開発に世界で初めて成功
本研究グループで開発している粒子系シミュレーションソフトウェア開発フレームワーク「FDPS」は、世界で初めて、並列化を意識しないで書かれたユーザープログラムを「京」のような世界トップレベルのスパコンで高効率で動作させることに成功した。「京」では、重力多体問題、重力+ 流体の複合問題の両方で、「京」全系までで性能がスケールし、50% を超える実行効率を達成した。さらに、GPGPU システムにも適応し、アプリケーション開発言語も C++ の他に Fortran もサポートした。さらに、メニーコア、アクセラレータだけでなく、ヘテロジニアスマルチコアシステムでも効率のよい実行ができるような改良を進めている。
FDPS はさまざまな大規模シミュレーションに利用されるようになってきており、月形成の最有力モデルである巨大衝突の世界最大規模のシミュレーション(図)や、世界で初めての小惑星周りのリングのフルシミュレーション等、従来不可能であった研究を可能にしている。
月形成の最有力モデルである巨大衝突の世界最大規模のシミュレーション
講習会資料など
公開ソフト講習会 2016年度 第6回「FDPS 初級」
「大規模計算のためのHPC技術講座」 FDPS講習会