理化学研究所 計算科学研究機構

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第101回

第101回
日時: 2016年11月9日(水)、15:30 – 16:30
場所: AICS 6階講堂

・講演題目: 気象モデルを用いた大アンサンブルデータ同化実験
・講演者: 近藤 圭一(データ同化研究チーム)
※発表は日本語、スライドは英語。

講演要旨: 詳細を見る

天気予報モデルはカオス力学系であり、初期値に非常に敏感である。そのため、初期値の精度を上げることは天気予報の精度向上に直結する。データ同化は、観測データをシミュレーションに融合させる手法であり、特に大規模シミュレーションでは気象学分野で発展し、天気予報の精度向上に大きく寄与してきた。本研究で用いるアンサンブルカルマンフィルタは先進的なデータ同化手法であるが、通常はサンプル数100個程度からなるアンサンブル予報で予報誤差共分散を見積もるため、アンサンブル数が少ないことによるサンプリング誤差が生じる。そこで一般的には、観測影響範囲を限定する局所化と呼ばれる手法を用いて対処している。本研究では、「京」を用いサンプル数10240個の巨大アンサンブル実験を行うことで局所化をなくすことに成功し、サンプリング誤差の影響が少ない予報誤差共分散行列の推定に世界で初めて成功した。巨大アンサンブルデータ同化を実行するには計算機の性能を十分に生かす必要がある上、扱うファイル数も膨大となる。これらの計算上のチャレンジについても紹介する。