第33回「格子上の場の理論国際会議」(7月14日〜18日 Lattice 2015)開催報告
2015年7月14日〜18日に第33回「格子上の場の理論国際会議」(通称:Lattice 2015)が神戸国際会議場で開催されました。5日間で350近くの講演と発表が行われ、日本を含む26の国と地域から376名が参加、海外からの参加者が7割を占めました。
30年以上の歴史がある国際会議
格子上の場の理論国際会議は、当研究分野において最も重要な国際会議であり、1983年以来毎年一度も欠かすことなく、ヨーロッパ、米国、アジア、オセアニアと持ち回りで開催されてきました。 日本は、筑波大学における専用並列計算機(QCDPAX、CP-PACS、PACS-CS)の開発やそれらを使った先端的研究などを通じて、当該分野をリードする世界的研究拠点のひとつです。今回はつくば以外では初となる、12年ぶり3回目の日本開催です。
Lattice 2015
期間中に台風11号が神戸市を通過しましたが、悪天候にめげることなく、最終日まで最先端の研究成果の発表・討論・情報交換が活発に行われ、全日程を終了することができました。 今後、会議での発表内容はProceedings of Scienceに発表される予定です。
※本国際会議の詳細については主催者のウェブサイト(英語)をご覧ください。
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「格子上の場の理論」とは?
格子上の場の理論は、空間3次元と時間1次元を格子状に区切り、その上でクォークという素粒子(物質を構成する最小の粒子)のふるまいをシミュレーションして、宇宙創成に始まる自然界の成り立ちを解明しようとする研究分野です。
自然界には、強い力、電磁気力、弱い力、重力の4つの力が存在します。(図1)。強い力は、太陽や夜空の星を輝かせている源であり、われわれの体を構成している様々な分子の中の原子核を構成している力でもあります。強い力に対して電磁気力や弱い力は100分の1以下の強さであり、重力は全く無視できる程度のものでしかありません。強い力は、その強さ故に素粒子の世界においてわれわれの想像を越えた様々な現象を引き起こすため、その効果を精密に調べるために、最先端のスーパーコンピュータを駆使しています。
図1 自然界の4つの力
力の種類 | 具体例 | 相対的な力の強さ |
強い力 |
クオークを結びつけている力。 太陽や星を輝かせる元となる力、原子核を構成する力など |
1 |
電磁気力 | 原子核に電子を結びつける力、化学反応起こす力など | 0.01 |
弱い力 | ベータ崩壊(原子核の放射性崩壊)をつかさどる力 | 0.00001 |
重力 | 質量があるもの同士が引き合う力 | 10 -40 |
研究についての詳細は、連続系場の理論研究チームのページをご覧ください。