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「京」が性能指標(HPCG)で2期連続 世界第1位を獲得 -ISC2017(独・フランクフルト)

→プレスリリース全文(2017年6月)

ISC2017 HPCG受賞式 左からジャック・ドンガラ博士、富士通 次世代テクニカルコンピューティング開発本部 三吉部長、熊畑清 開発研究員(運用技術部門 チューニング技術チーム/フラッグシップ2020プロジェクト アプリケーション開発チーム)、マイケル・ハーロウ博士

世界中のコンピュータシステムの、連立一次方程式の処理速度上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクトとしてTOP500があります。TOP500の評価指標は、米国のテネシー大学のジャック・ドンガラ博士らによって開発された連立一次方程式を解くベンチマーク・プログラム:LINPACKです。TOP500はプロジェクトが発足した1993年から20年以上が経過し、近年、実際のアプリケーションで求められる性能要件との乖離やベンチマークテストにかかる時間の長時間化が指摘されています。

そこで、ジャック・ドンガラ博士らにより、産業利用など実際のアプリケーション(※)でよく使われる計算手法である共役勾配法を用いた新たなベンチマーク・プログラム:HPCGが提案されました。2014年6月のISC14で世界の主要なスーパーコンピュータ15システムでの測定結果の発表を経て、同年11月に米国ニューオーリンズで開催されたHPCに関する国際会議SC14から正式なランキングが発表されています。

「京」は、ISC2017のTOP500では第8位ですが、今回のHPCGでは世界第1位を獲得しました。TOP500では「京」よりも上位で9倍以上のスコアを持つ「神威太湖之光」などを上回っており、HPCGスコアで世界一であることは、「京」が産業利用などの実際のアプリケーションをより効率的に処理できることを示しています。

この性能指標(HPCG)を開発したマイケル・ハーロウ博士は、「HPCGは多面的な能力を必要とするベンチマークです。良いスコアを挙げるには、 強力で柔軟性の有るメモリ性能、大規模での優れたCPU間のネットワーク性能、および全体的なバランスの良さが必要です。その意味でスーパーコンピュータ『京』が 第1位であることに驚きはありません」とコメントしています。

(※)産業利用のアプリケーションとは・・・
例えば、流体解析や構造解析などのアプリケーション。流体解析とは、自動車に風を当てた時の空気の流れや、ビルに当たる風の影響をシミュレーションしたりすることです。 構造解析とは、建築物や工業製品の強度や、自動車の車体の強度をシミュレーションしたりすることです。

→HPCGホームページ

※スパコンのランキングの種類については、理研ブログ(2014年7月)もご参考にご覧ください。

ISC2017 HPCG受賞式 左からマイケル・ハーロウ博士、熊畑清 開発研究員(運用技術部門 チューニング技術チーム/フラッグシップ2020プロジェクト アプリケーション開発チーム)、ジャック・ドンガラ博士

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