「京」が性能指標(HPCG)で世界第1位を獲得 -産業利用など実際のアプリケーションにおける高い性能を証明- SC16(米・ソルトレイク)
世界中のコンピュータシステムの、連立一次方程式の処理速度上位500位までを定期的にランク付けし評価するプロジェクトとしてTOP500があります。TOP500の評価指標は、米国のテネシー大学のジャック・ドンガラ博士らによって開発された連立一次方程式を解くベンチマーク・プログラム:LINPACKです。TOP500は、プロジェクトが発足した1993年から20年以上が経過し、近年、実際のアプリケーションで求められる性能要件との乖離やベンチマークテストにかかる時間の長時間化が指摘されています。
そこで、ジャック・ドンガラ博士らにより、産業利用など実際のアプリケーションでよく使われる計算手法である共役勾配法を用いた新たなベンチマーク・プログラム:HPCGが提案されました。2014年6月のISC14で世界の主要なスーパーコンピュータ15システムでの測定結果の発表を経て、同年11月に米国ニューオーリンズで開催されたHPCに関する国際会議SC14から正式なランキングが発表されています。
「京」は、2016年のTOP500では第7位ですが、今回のHPCGでは世界第1位を獲得しました。TOP500では「京」よりも上位で9倍以上のスコアを持つ「神威太湖之光」などを上回っており、HPCGスコアで世界一であることは、「京」が産業利用などの実際のアプリケーションをより効率的に処理できることを示しています。
この性能指標(HPCG)を提唱しているジャック・ドンガラ博士は、「『京』は浮動小数点演算性能とメモリ転送性能のバランスが非常によく、広い分野の科学計算アプリケーションで非常に高い性能を発揮できるアーキテクチャであるということを、HPCGで1位を獲得したということが示しています。」とコメントしています。2016年10月発表HPCGの上位10位
順位 | システム 名称 |
設置場所 | ベンダー | 国名 | TFLOPS | TOP500 順位 |
Graph500 順位 |
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1 | 京 | 理研 計算科学研究機構 | 富士通 | 日 | 602.7 | 7 | 1 |
2 | 天河2号 | 広州国立スーパーコンピューティングセンター | NUDT | 中 | 580.0 | 2 | 8 |
3 | Oakforest-PACS | 最先端共同HPC基盤施設 | 富士通 | 日 | 385.5 | 6 | - |
4 | 神威太湖之光 | 無錫国立スーパーコンピューティングセンター | NRCPC | 中 | 371.2 | 1 | 2 |
5 | Cori | 国立エネルギー研究科学計算センター | Cray | 米 | 355.4 | 5 | - |
6 | Sequoia | ローレンス・リバモア研 | IBM | 米 | 330.4 | 4 | 3 |
7 | Titan | オークリッジ研 | Cray | 米 | 322.3 | 3 | - |
8 | Trinity | ロスアラモス研 | Cray | 米 | 182.6 | 10 | - |
9 | Pleiades | アメリカ航空宇宙局(NASA) | HPE/SGI | 米 | 175.2 | 13 | 41 |
10 | Mira | アルゴンヌ研 | IBM | 米 | 167.0 | 9 | 4 |
※スパコンのランキングの種類については、理研ブログ(2014年7月)もご参考にご覧ください。
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