宇宙は約138億年前に超高温・超高密度状態のビッグバンから始まりました。宇宙の膨張により温度が下がるにつれて、素粒子のクォークから陽子や中性子がつくられ、陽子と中性子から水素やヘリウムといった軽い元素の原子核ができました。一方、宇宙には正体不明のダークマターが存在し、陽子や原子核など普通の物質の数倍あることが分かってきました。まずダークマターが重力によって集まり、そこに普通の物質が引き寄せられて星や銀河が誕生しました。このような素粒子から宇宙までスケールをまたがる現象の精密な計算を、ポスト「京」で実現します。さらに、その精密計算と大型実験・観測のデータを組み合わせて宇宙の基本法則の手掛かりを見つけ、ダークマターの正体や金などの重い元素がどこでどのように合成されたのかなど、多くの謎が残されている宇宙誕生と進化の解明を目指します。